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梅酢の作り方をご紹介!作る際のポイントや活用方法も
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古くから、日本人の食生活に関わってきた梅干し。夏頃になると自宅で手作りしているというご家庭も多いのではないでしょうか。梅干しを作る際は、「梅酢(うめず)」も一緒に楽しむのがおすすめです。さまざまな使い方ができる梅酢を活用すれば、梅を余すことなく楽しめるようになります。
ここでは、基本的な梅酢の作り方やポイント、使い方の例などをご紹介します。
梅酢とは
梅酢とは、塩漬けした梅の実から出るエキスのことです。「酢」という漢字が入っていますが、米酢などのように発酵させて作る「お酢」とは異なり、梅干しを作る過程で梅の実からにじみ出た液体を指します。
梅の実に含まれる成分が溶け出たもので、さまざまな使い方ができるのが魅力です。
作り方から、大きく「白梅酢」と「赤梅酢」の2種類に分けることができます。
【白梅酢】
梅と塩だけというシンプルな材料から作られた梅酢です。塩味と梅の香りを楽しむことができます。料理の味付けやサラダのドレッシング、漬け物作りなどに活用できる万能な調味料です。
【赤梅酢】
白梅酢に赤紫蘇を加えて作るのが赤梅酢で、紫蘇の香りと鮮やかな赤色を楽しめます。風味付けや食材の着色目的で使うことが可能です。
シンプルな味わいや梅の香りを楽しみたい場合は白梅酢を、紫蘇の香りも楽しみたい場合は赤梅酢を使うなど、好みや用途に応じて使い分けるのがおすすめです。
梅酢の作り方
梅酢は、梅干しを作る過程でできるものなので、作り方は梅干しと同じです。そこで、ここからは梅干し作りに必要な材料や、作り方の手順をご紹介します。
梅干し作りに必要な材料
梅酢は、梅干しを作る際に必要な材料と道具があれば作ることができます。梅酢作りに必要な材料や道具は、以下の通りです。
具体的な分量は、使用する梅の量に合わせて調整してください。
【完熟梅:1kg】
梅は、青く未熟な状態の「青梅」と、熟して黄色がかった「完熟梅」の2種類に大きく分けられます。どちらの梅でも梅酢を作ることはできますが、手間がかかりにくい完熟梅を使うのがおすすめです。
【粗塩:200g(梅の重量に対して20%)】
粒子が粗く、梅を漬けるのに最適です。好みで調整することもできますが、カビの発生を防ぐために、減らし過ぎるのは避けてください。
【焼酎(アルコール35度以上のもの)】
梅の実や道具の消毒に使用します。食品用のアルコールスプレーなどでも問題ありません。
【保存容器(容量5L程度)】
成分が溶け出す恐れがあるので、酸に弱い素材でできた容器は避ける必要があります。ガラスや琺瑯など、酸に強いフタ付きの保存容器を用意しましょう。
【落とし蓋】
梅の実を漬ける際に使用します。色移りしても良い場合は、平皿などで代用することも可能です。
【重石:約2kg】
重石や水を入れた袋なども用意しておきましょう。梅の実に対して約2倍程度の重量が基本です。
【竹串】
梅のヘタを取るために使用します。折れてしまうことがあるので、複数本用意しておきましょう。
梅干しの作り方の手順
1.梅の下処理を行う
最初に、梅の実の下処理を行います。傷んでいる梅を取り除いたら、水を張ったボウルなどに梅を入れ、実が傷つかないように手で優しく水洗いしましょう。
汚れが落ちたら、清潔なタオルやキッチンペーパーで水気を拭き取り、竹串でヘタを取ります。
青梅を使用して梅酢を作る場合は、2時間ほど水に入れてアク抜きを行ってください。
また、ヘタを取ってから焼酎を噴きかけたりまぶしたりするのもおすすめです。カビの発生を防ぎやすくなります。
2.塩と梅を交互に漬ける
梅の実の下処理が終わったら、消毒した容器の底に塩を入れ、その上に梅の実を敷き詰めていきます。梅を敷き詰めたら再び塩を入れるという作業を、交互に繰り返していきましょう。
容器の上に行くほど塩の量を増やして、最後は塩で梅全体を覆い隠すようにするのがポイントです。
塩を入れ終えたら、落し蓋と重石を乗せます。
3.梅酢が上がるのを待つ
落とし蓋をしたら、梅酢が上がって来るのを数日から1週間ほど待ちます。梅の実が漬かるくらいの量を残して保存容器に移したら、白梅酢の完成です。
白梅酢にアク抜きした赤紫蘇を加えれば、赤梅酢にすることもできます。
梅酢の上がりが遅く、数日経っても実が梅酢に漬かっていない場合は、重しの重量を増やすか、塩分濃度20%の塩水を少し加えるようにしましょう。
また、梅酢だけが目的の場合はそのまま実を漬けておいても良いですが、天日干しなどの工程をプラスして梅干しを作るのもおすすめです。
梅酢を作る際は衛生管理に注意
梅酢を作る際は、梅干し作りで使う道具類を確実に消毒しておくことが大切です。消毒が不十分だと、カビが生えて食べられなくなってしまう恐れがあります。
耐熱性を持ったガラス瓶を使う場合は、煮沸消毒を行うのがおすすめです。急激な温度変化は破損の原因になるため、火をかける前の水の状態から鍋に入れておくようにしましょう。鍋底に布巾などを敷いておくと、容器が鍋にぶつかって割れるのを防げます。
食品用のポリ袋に梅を入れて梅酢を作る場合は、消毒用のアルコールや焼酎、ホワイトリーカーなどを全体に行き渡るように噴きかけたり回し入れたりして、消毒を行ってください。
容器だけでなく、重石なども含めたすべての道具を消毒しておくのがポイントです。
また、容器に水分が残っているとカビが生える原因になります。消毒後はしっかりと乾燥させておくことも大切です。
梅酢の保存方法や保存期間
梅酢は、消毒した密閉容器に入れて、直射日光の当たらない冷暗所で保存します。減塩して作った梅酢や、塩以外の調味料が含まれている市販品などは保存性が落ちるので、冷蔵庫に入れて保管するようにしましょう。
また、梅酢の保存期限も、塩分濃度や他に含まれている調味料によって異なります。原材料が梅と塩のみで、塩分濃度が20%前後の梅酢なら、梅干しと同じく数年間は保存できるとされています。
一方で、減塩タイプや塩以外の調味料も添加されているものは、賞味期限を確認したうえで、できるだけ早めに使い切ることを心がけましょう。
自家製・市販品を問わず、見た目やにおいに変化があったり違和感を覚えたりした場合は、賞味期限内であっても使用を避けることをおすすめします。
梅酢の使い方
梅酢は、さまざまな方法で楽しめるのが魅力です。お塩の代わりに調味料として使うだけでなく、ドレッシングのようにサラダにかけたり、炭酸水で割ってドリンクにしたりするのも良いでしょう。
ご飯を炊く際に梅酢を少し加えると、炊き上がりにツヤが出ておいしく食べられます。防腐効果も期待できるので、お弁当用のご飯を炊く際に試してみてはいかがでしょうか。
赤紫蘇を加えた赤梅酢は着色用途で使えるので、自家製の紅生姜作りにチャレンジしてみるのもおすすめです。
また、梅酢を水で薄めてうがい薬にしたり、お掃除用のスプレーに使ったりと、料理以外の用途でも活用することができます。
梅干し作りの際は梅酢にも注目してみよう
梅干し作りの過程でできる梅酢は、梅のエキスがつまったおいしい調味料です。料理だけでなく、ドリンクとして飲んだりうがいや掃除に使ったりと、多彩な使い方ができる点も、梅酢の魅力のひとつです。
自家製の梅干しを作る際は、捨てずに取っておくことをおすすめします。
さまざまなシーンで活躍する梅酢を、生活の中に取り入れてみてはいかがでしょうか。