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ざるがなくても安心! 梅干し作りの干し方のポイント
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梅干しは、日本の食卓に欠かせない伝統的な保存食です。自宅で手作りもできますが、敷居が高そう、どうすればおいしく作れるのかわからないといった理由から諦めている方も多いのではないでしょうか。おいしい梅干しを作るには作り方の手順やコツを押さえることが大切です。
ここでは、梅干しの作り方の中でも「干し方」に焦点を当てて、梅を干す理由や干し方のポイントをご紹介します。
手作り梅干しにチャレンジしたいという方は、ぜひ参考にしてみてください。
梅干しの「土用干し」とは?
夏場に梅を干すことは「土用干し」と呼ばれます。土用とは、季節の変わり目に当たる立春・立夏・立秋・立冬の前の18日間を指す言葉です。
季節の変わり目の前が土用と呼ばれるのは、万物は「木火土金水」の5つから成り立っているとする中国の「陰陽五行説」が由来です。四季においても、春は「木」、夏は「火」、秋は「金」、冬は「水」と割り当てられていますが、「土」はどの季節にも対応していません。
そこで、季節の変わり目の時期に土を当てたと考えられています。
夏の土用は7月末~8月頭くらいで、ちょうど梅雨明けの時期です。気温が上がり晴天が続きやすいので、梅を干すのにちょうど良い季節とされています。
また、梅干しだけでなく田んぼや衣類などをこの時期に干すことも、土用干しと呼ばれます。
梅干しを干す理由
梅干しは一度漬けた梅を天日干しして作られますが、なぜわざわざ干す必要があるのでしょうか。梅を干す理由としては以下が挙げられます。
保存性が高まる
天日干しを行うことで、太陽光の力で梅を殺菌したり、中に含まれる余分な水分を飛ばしたりできます。食べ物が傷む原因の水分を減らすことで、保存性が高まり日持ちする梅干しになります。
実が柔らかくなる
実や皮から余分な水分が蒸発することで柔らかくなり、梅の中の果肉成分がジューシーになり、梅干し特有のとろっとした食感が生まれます。
また、日光に当てることでしっかりとした色味の梅干しになる点も、梅を干す効果のひとつです。
梅干しの干し方
梅の土用干しは、基本的に梅雨明けの気温が高く晴天が続く期間に行うのが理想的です。基本的な梅干しの干し方の手順や干し終わった梅干しの保存方法をご紹介します。
基本的な梅の干し方の手順
基本的な梅の干し方の手順は、以下の通りです。
【干し方の手順】
1.梅が傷つかないように容器から取り出す
梅が破けるとざるにくっつきやすくなります。傷つかないよう丁寧に容器から取り出すのがポイントです。
2.梅同士がくっつかないよう間隔を開けながら、清潔なざるに並べる
3.ざるに並べた上から水道の水を掛けて表面の梅酢を洗い流すことがポイント。
梅の表面を洗うことでざるにくっつきにくくなり、干し上がりもきれいな梅干しになります。水洗いしてもすぐに乾くのでご心配なく。
4.風通しが良く直射日光が当たる場所に置き、すべての梅をひっくり返してムラをなくすようにしましょう。
皮が薄いものは乾燥するにつれてくっついたり破れたりしやすくなるので、こまめにひっくり返してください。 仕事などで日中に時間を取るのが難しい場合は、外に出す前に上下をひっくり返すようにしましょう。
5.日が落ちる前にざるごと室内に取り込み、ホコリなどの付着を防ぐために新聞紙などを被せる
夜露に当てると梅の皮が柔らかくなるので、夜間も雨の心配がない場合は、取り込まず干しっぱなしにするのもおすすめです。
6.梅の表面が乾いてシワが寄るまで、梅を干します。
3~4日ほど天日干しを続け、表面がしっかりと乾燥したら完了です。
最終日は梅だけでなく梅酢も日光に当てるようにします。紫外線によって殺菌され、保存性がより高まります。
ざるがない場合はどうする?
梅干しを干す際は、水分を吸収しやすく網目が風を通してくれる、竹製のざるを使用するのが基本です。しかし、自宅に大きな竹製のざるがないことも考えられます。
ざるがない場合に代用できるアイテムと、それぞれの干し方のポイントをご紹介するので参考にしてみてください。
吊り下げネットで代用する
野菜などを干す際に使用する吊り下げネットやドライネットがあれば、ざるの代用品として使用できます。お庭など広いスペースがない家庭でも、ベランダの洗濯竿などに吊り下げて梅を干すことが可能です。
また、チャックやジッパーで完全に密閉できるものなら、風に飛ばされたり鳥に食べられたり、虫が付いたりするのを防げます。
基本的な干し方の手順は、ざるを使用する場合と変わりません。ネットの下に梅酢が垂れる可能性があるので、下に新聞紙などを敷いておくと良いでしょう。
梅干しを干す際の注意点
梅を上手に干すためには、いくつかポイントを押さえておくことも大切です。梅干しを干す際は以下の3つのポイントに注意して作業を行いましょう。
高温になる場所を避ける
梅干しは、風通しが良い直射日光の当たる場所で干すのが基本です。地面に直接ざるを置いて乾燥させるのではなく、段ボールなどを使ってざるの下に空間を作ると、風通しが良くなります。
ただし、アスファルトやコンクリートの上など、高温になりすぎる場所は避けてください。
日差しが強すぎる場合は、半分日陰になっている場所を探して干すのも良いでしょう。
梅同士の間隔を空ける
梅同士の間隔を空け、重ならないようにするのもポイントです。ひっくり返す際に皮がくっついて破けるのを防いだり、干し方にムラができたりするのを防げます。
雨の日は避ける
梅に雨が当たると、塩分濃度が薄くなり保存性が落ちてしまいます。事前に天気予報を確認して、晴天が続く日を狙って干すのがポイントです。一般的には、3~4日間ほど連続して干し続けるのが良いとされているので、週間天気で晴れが続く日を狙いましょう。
ただし、具体的に干す日数は梅のサイズや日差しの強さ、気温などに左右されます。表面の状態を確認しながら、干す日数は適宜調整を行ってください。
梅干し作りにチャレンジしてみよう
敷居が高そうと思われがちな梅干しの手作りですが、手順とちょっとしたコツを覚えておけば、誰でも簡単に自作の梅干しを楽しめるようになります。ざるがなくても、ネットやキッチンペーパーといったアイテムがあれば問題ありません。
ご紹介した内容を参考に、梅干し作りにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。