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梅干しの漬け方は?初心者でも簡単にできる梅干しの作り方
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近年は、健康に配慮して塩分濃度を減らした減塩タイプや、調味料で食べやすく味付けしたタイプなど、さまざまな梅干しがコンビニやスーパーで売られています。しかし、梅と塩だけで作る昔ながらの梅干しを食べたい、自宅で作ってみたいという方も多いのではないでしょうか。
ここでは、梅干しを手作りする際に必要な材料や漬け方の手順、梅干し作りのポイントなどをご紹介します。
手作り梅干しに必要な材料
梅を漬けて手作り梅干しを作るためには、以下の材料が必要です。材料の比率がわかりやすいよう、ここでは1kgの梅を漬ける想定で分量をご紹介します。
【完熟梅 1kg】
梅は青くて硬い「青梅」と、熟して黄色くなった「完熟梅」に分けられます。青梅で梅干しを作ることもできますが、完熟梅を使うと柔らかくおいしい梅干しを作ることが可能です。
【粗塩 200g(梅に対して20%が基本)】
傷んだりカビが生えたりする恐れがあるので、梅の重量に対して20%という比率は変えないようにしましょう。
【容量5Lほどの容器】
金属などの酸に弱い素材でできた容器は、金属の成分などが溶け出す恐れがあります。ガラスや琺瑯(ホーロー)、陶器などでできたフタ付きのものを使用してください。
【落とし蓋】
落とし蓋(中蓋)も必須です。平皿などで代用できますが、色移りして良いものを用意してください。平皿の大きさは、容器の口より少し小さめでも問題ありません。
【重し 約2kg】
梅干しに対して、1~2倍の重量を使います。漬け物用の重石ではなく、水を入れたペットボトルなどでも代用できます。
【消毒用アルコール】
焼酎(35度以上)やホワイトリカー、消毒用アルコール(※口に入れても大丈夫なもの)などの用意も必須です。梅や道具の消毒に使用します。
【竹串や爪楊枝】
梅のヘタを取るために使います。折れた時に備えて、複数本用意しておくと安心です。
【ざる】
梅を天日干しする際に使います。金属製のものは変質する恐れがあるので、竹ざるやプラスチック、木製を用意しましょう。吊り下げネットなどでも代用できます。
梅の作り方/漬け方の手順
必要な材料を用意したら、実際に梅を漬けていきましょう。梅干し作りの手順とコツをご紹介します。
1.道具の消毒
カビが生えるのを防ぐために、梅干し作りで使う道具類に熱湯や焼酎をかけるなどして消毒を行います。重石なども含め、すべての道具を事前に消毒しておくのがコツです。
食品用ポリ袋に梅を入れて作る場合は、ポリ袋を容器にセットしてから焼酎やホワイトリカーを入れ、全体に行き渡るように消毒を行ってください。
2.梅の下処理を行う
道具の消毒が終わったら、梅の下処理を行います。
最初に、傷んでいる梅はカビや濁りの原因となるため取り除いてください。
その後、水を張ったボウルなどに梅を入れ、実が傷つかないように手で優しく水洗いを行いましょう。汚れを落としたら竹串でヘタを取ります。
青梅を使っている場合は水に2~3時間つけてアクを抜きます。また、ヘタを取った後に焼酎を吹きかけたりまぶしたりすると、カビの発生を抑えやすくなります。
3.梅を塩漬けする
梅の下処理が完了したら、消毒した容器の底に塩を入れ、その上に梅を敷き詰めて並べます。これを交互に繰り返していきましょう。容器の上側ほど塩の量を増やし、最後は梅が塩で隠れるようにするのがポイントです。
この時、塩と一緒に梅酢を少し入れておくと梅酢が早く上がってきます。毎年梅干しを作っている場合は、梅酢を残しておくのがおすすめです。
塩を入れ終えたら落とし蓋をして、その上から重しを乗せます。
あとは必ず蓋で容器を密閉して冷暗所で静置してください。蓋が無い場合はビニールや食品用ラップを被せてヒモで縛って密閉しましょう。
4.梅酢が上がるのを待つ
重しを乗せたら、梅酢が上がるのを数日~1週間ほど待ちます。
実が梅酢で浸る程度まで上がってきたら、梅が潰れるのを防ぐために重しを軽くしても問題ありません。逆に、数日経っても実が梅酢に漬かっていない、梅酢の上がりが遅いという場合は、重しの重量を増やしてください。塩分濃度20%の塩水を少し加えることでも、梅酢の上がりを早くできます。
梅酢が上がってきたら、塩が溶け切るまで冷暗所で置いておきましょう。
5.土用干しを行う
梅干しを作る場合は、1ヶ月ほど梅を漬けこんだ後、天日干しを行います。数日間続けて天日干しする必要があるので、梅雨明けで3日ほど晴天が続く日を、あらかじめ天気予報などで見計らっておきましょう。
土用干しを行った後は、梅酢に戻して梅を保存する方法と梅酢に漬けずに保存容器に入れて保存する方法があります。
梅酢に戻した梅干しは果肉がみずみずしく、酸味が強く出るのが特徴です。一方で、そのまま保存すると果肉がねっとりした食感になり、酸味も少し落ち着きます。好みに合わせて保存方法を調整すると良いでしょう。
また、梅干しは天日干しの後すぐに食べることもできますが、しばらく置いて熟成させると、塩かどが取れておいしくなります。清潔な密閉容器などに入れてから、数ヶ月ほどそのまま保存し続けるのがおすすめです。
梅干しを作る際のポイント
梅干し作りは、季節を意識することが重要です。天日干しは晴天が続き日差しも強い、7 月末~8月頃が最も適しています。天日干しの時期から逆算して、塩漬けを6月中旬から下旬頃には行えると最適です。
また、梅を漬けている最中に白いカビが生えてしまうことも考えられます。梅酢が上がるのを待つ工程でカビが発生した場合は、カビをすべて取り除いてから、梅の重量に対して5%の焼酎を加えてください。
もしくは、梅と白梅酢を取り出してから白梅酢は煮沸し、梅は水洗い後、水分を吹きとってから梅酢と一緒に容器に戻す方法でも、カビに対処できます。
アレンジ梅干しの作り方
基本の梅干しだけでなく、赤紫蘇を使った梅漬けや甘いはちみつ漬けなども家庭で作れます。
アレンジ梅干しの作り方をご紹介するので、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
梅漬け
赤紫蘇を加えれば、鮮やかな色と紫蘇の爽やかな風味を楽しめる、梅漬けを作れます。
梅漬けには、通常の梅干し作りで使うものに加えて、以下の材料が必要です。
【梅漬け用の材料】
・赤紫蘇:梅の重量に対して10~20%ほど
・粗塩:赤紫蘇の重量に対して20%ほど
・梅酢:梅を漬け、梅酢が上がるのを待つ段階で取り出しておく。赤紫蘇が浸るくらいの量が目安
【梅漬けの作り方】
1.赤紫蘇のアクを抜く
赤紫蘇は多めの水で葉の部分を洗い、水気をしっかりと切っておきます。その後大きめの容器に入れて塩もみし、アク抜きを行います。複数回アク抜きを繰り返して、しっかりと汁を絞るのがポイントです。
2.梅の塩漬けに加える
事前に取り出した梅酢で紫蘇をもみほぐしてから、容器の中に紫蘇と梅酢を戻して重しを乗せておきます。
このまま1ヶ月程度置いておけば、おいしい梅漬けが完成します。
はちみつ漬け
基本の梅干しが作れれば、はちみつ漬けの梅干しを家庭で作ることも可能です。はちみつは梅の重量に対して10%ほど用意してください。
【はちみつ漬けの作り方】
1.梅干しの重さに対して4倍の水を加えた容器に梅干しを入れ8時間ほど置き、塩を抜く
2.塩抜きが完了したら梅干しを取り出し、水気を切る
3.鍋にはちみつとはちみつの半分の量の水を入れて沸騰させる
4.密閉容器に梅と冷ましたはちみつを入れ、数日冷蔵庫に置けば完成
減塩した梅干しは保存が効かないため、すぐに食べ切ってください。また、加えるはちみつの分量は好みに応じて調整してもおいしく食べられます。
自家製の梅干しを漬けてみよう
自家製の梅干しを作れば、市販の梅干しとは異なる味わいを楽しめます。カビが発生しないようにしっかり消毒を行うなど、少し手間はかかりますが、作り方の手順自体は簡単です。コツと流れを押さえれば、誰でも梅干しを漬けることができます。
今回ご紹介した内容を参考に、自家製の梅干し作りにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。