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硬めの食感がクセに! 青梅を使った梅干しの作り方
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梅の実が熟す前に収穫した青梅は、フレッシュで酸味が強いのが特徴です。一般的には梅酒や梅シロップなどにして楽しみますが、青梅を使って梅干しを作ることもできます。
ただし、完熟梅を使った梅干し作りとは異なるポイントがあるので、注意が必要です。
ここでは、青梅を使った梅干しの作り方や、青梅を追熟させる方法などについてご紹介します。
梅干し作りに青梅ではなく完熟梅を使う理由
一般的には、梅干し作りには黄色く色づいた完熟梅を使用します。しかし、なぜ青梅ではなく完熟梅を使用するのでしょうか。その理由としては、以下の2点が挙げられます。
【完熟梅の方が失敗しにくい】
梅干し作りの際は、傷んだりカビが生えたりするのを防ぐために、梅の実を梅酢に漬けておく必要があります。
しかし、実が硬い青梅は完熟梅よりも梅酢が出にくいです。完熟梅なら十分な量の梅酢が出やすく失敗しにくいため、一般的には完熟梅で作ることが推奨されます。
また、青梅を使うと下準備としてアク抜きも行う必要があります。手間がかかりにくい点も、完熟梅が推奨される理由といえるでしょう。
【仕上がりが柔らかい】
仕上がりが柔らかくなる点も、完熟梅が勧められる理由のひとつです。青梅は塩漬け後も硬さが残りますが、完熟梅なら柔らかい食感に仕上げることができます。
青梅を使った梅干しの作り方
しかし硬めの食感を楽しみたい方は、青梅を使った梅干し作りがおすすめです。
ここからは、青梅を使った梅干し作りに必要な材料と、作り方のポイントをご紹介します。
必要な材料と道具
梅を漬けて手作り梅干しを作るためには、以下の材料が必要です。ここでは、青梅1kgを目安に、必要な材料の分量をご紹介します。
【青梅 1kg】
地域にもよりますが、青梅は5月下旬~6月の梅雨前辺りに出回ります。青梅で梅干しを作りたい場合は、5~6月にチャレンジすると良いでしょう。
【粗塩 180~200g(梅に対して18~20%が基本)】
粒子が粗い粗塩は、梅干しを漬けるのに適しています。塩の量を減らすと梅酢が出にくくなり、傷んだり、カビが生えたりしやすくなるので、18~20%の比率からチャレンジするのがおすすめです。
【容量5Lほどの容器】
金属やプラスチックなどの酸に弱い素材でできた容器は、金属の成分などが溶け出す恐れがあります。ガラスや琺瑯(ホーロー)、陶器などでできたフタ付きの容器を使用しましょう。
【落とし蓋】
落とし蓋(中蓋)も必要です。落とし蓋がない場合は容器の口より少し小さめの平皿でも代用できます。
【重し(梅の重量に対して2倍以上)】
青梅は完熟梅よりも実が硬く、エキスも出にくいです。青梅を使って梅干しを作る場合は、梅に対して2倍以上の重しを用意しておきましょう。
【消毒用アルコール】
焼酎やホワイトリカー、エタノールなど、消毒用アルコールの用意も必須です。梅や道具の消毒に使用します。
【竹串や爪楊枝】
梅のヘタを取る用途で使用します。複数本用意しておくと安心です。
【ザル】
梅を天日干しする際に使います。金属製のものは変質する恐れがあるので、竹製や木製のザルを用意しましょう。
手順1:下準備を行う
必要な材料を用意したら、まずは梅干し作りで使う道具類を全て殺菌消毒します。用意した消毒用のアルコールを吹きかけるか、耐熱性を持ったアイテムは熱湯消毒を行いましょう。
道具の消毒と併せて、梅の下処理も行う必要があります。水を張ったボウルで梅を軽く洗ったら、一晩水につけてアク抜きを行ってください。
アク抜きが終ったら梅の実をザルに上げ、清潔なタオルで水気を拭き取ります。この時、傷んでいるものは取り除くのがポイントです。
水気を拭き取ったら、梅の実に付いているヘタを竹串や爪楊枝で丁寧に取り除いて、下準備は完了です。
手順2:梅を塩漬けする
下準備が終わったら、消毒した容器の底に塩を入れ、その上に梅を敷き詰めて並べる工程を繰り返します。容器の上側ほど塩の量を増やし、最後は梅が塩で隠れるようにするのがポイントです。
塩を入れ終えたら落とし蓋をして、その上から重しを乗せます。
青梅は完熟梅よりも実が硬いため、梅酢が出にくいと言われています。一般的な梅干し作りでは「梅に対して重しは2倍が目安」とされていますが、青梅で作る場合はより重たい重しを用意しておきましょう。
手順3:梅酢が上がるのを待つ
重しを乗せたら、梅酢が上がるのを数日~1週間ほど待ちます。数日経っても実が梅酢に漬かっていない、梅酢の上がりが遅いという場合は、重しの重量を増やしてください。塩分濃度20%の塩水を少し加える方法でも、梅酢の上がりを早くできます。
梅酢が上がってきたら、塩が溶けるまで冷暗所に置いておきましょう。
手順4:土用干しを行う
1ヶ月ほど梅を漬けこんだ後、天日干しを行います。数日間続けて天日干しする必要があるので、梅雨明けで3日ほど晴天が続く日をあらかじめ天気予報などで見計らっておきましょう。
梅の表面に白いものが付着している場合は、結晶化した塩の塊の可能性があります。見た目はツブツブしているのが特徴です。ふわふわした白い綿のような見た目のものはカビの可能性が高いので、破棄してください。
色が同じで見分けられない場合は、一度お湯につけてみるのがおすすめです。塩ならすぐに溶けてしまいますが、白カビはお湯に溶けません。白いものが溶けた場合は結晶化した塩の塊だとわかります。
加工前の青梅の保存方法
青梅は、そのまま使うとエキスが出にくかったり、硬さがあったりして、おいしい梅干しを作るのが難しいかもしれません。また、青梅しか手に入らなかったものの、完熟梅で梅干しを作りたいという場合もあるでしょう。
そのような際は、以下の方法を試してみるのがおすすめです。
柔らかく仕上げたい場合は追熟を行おう
まだ実が硬い青梅は、しばらく置いて追熟すると柔らかくできます。柔らかい食感の梅干しを作りたい方は、手に入れた青梅を追熟するのがおすすめです。
青梅同士が重ならないように新聞紙やザルの上に並べて、風通しの良い冷暗所に置いておけば、数日で追熟します。変色や傷みの原因になるので、追熟前に洗ったり、冷蔵庫で保存したりするのは避けましょう。
実が黄色くなり、香りがしてきたら追熟は完了です。
冷凍するのもおすすめ
手に入れた梅をすぐに使わない場合は、冷凍するのもおすすめです。生のままよりも梅のエキスが出やすく、塩分も浸透しやすくなるので、梅仕事にかかる時間を短縮できます。
長期保存がきくので、好きな時期に梅を楽しめる点もメリットです。
青梅を使って自家製の梅干し作りにチャレンジしよう
梅干し作りには完熟梅を使うのが一般的ですが、熟しきっていない青梅でも作ることは可能です。硬めの食感に仕上がるので、普段とは異なる梅干しを楽しめます。
実が崩れにくいので、梅干しを丸ごと使う料理に使用するのも良いでしょう。
ただし、青梅は完熟梅に比べて実が硬いため、梅酢が出にくいとされています。重しを普段よりも重めにして、梅酢の上がりを促すようにしましょう。塩分濃度が低いと梅酢が上がりにくくなるので、塩の量も18~20%から下げないことをおすすめします。
ご紹介した内容を参考に、青梅を使った自家製梅干し作りにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。