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梅盆栽の育て方とは?具体的な手入れ方法や注意点を解説

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人が手入れを行い、美しい見た目の植物で自然を表現する「盆栽」は、海外でも知名度が高い日本の伝統文化のひとつです。盆栽で楽しまれる植物にはさまざまな種類がありますが、きれいな花を咲かせる梅盆栽は、見た目の良さと育てやすさから高い人気を誇ります。 

しかし、育て方やお手入れの仕方がよくわからないという方もいらっしゃるでしょう。 

ここでは、梅盆栽の魅力や育て方、お手入れの際の注意点などをご紹介します。梅盆栽に興味をお持ちの方はぜひ参考にしてみてください。 

梅盆栽の魅力とは

梅盆栽は代表的な花物盆栽(花を楽しむ盆栽)のひとつです。日本人に長く愛され続けてきた盆栽で、鎌倉時代​には​楽しまれていたとされています。 

​​梅は​暑さや寒さに強く丈夫な植物なので、1年間を通じて手入れが簡単で、樹形が少し崩れていても問題なく楽しめるなど、盆栽初心者の方でも育てやすいのが梅盆栽の魅力です。 

梅の種類にもよりますが、置き場所や剪定​(せんてい)​といった点に注意すれば、1~2月頃にきれいな花を咲かせます。 

梅盆栽の種類

「梅」と一口にいっても、実を取るのが目的の「実梅」と、花を観賞して楽しむのが目的の「花梅」に分けられ、盆栽用の花梅だけでも300種類以上あるとされています。 

ピンク色の花が咲く紅梅や、梅の原種に近く香り高い白色の花が咲く野梅(やばい)、垂れ下がった枝が特徴のしだれ梅などが代表的な梅盆栽の種類です。 

一般的には丈夫で育てやすい野梅種が梅盆栽に仕立てられています。 

花の色や木の見た目、香りなどが種類によって大きく異なるため、好みの梅で盆栽を楽しむことが可能です。 

梅盆栽の育て方

丈夫で形がさまになりやすいなど、初心者の方でも育てやすい梅盆栽ですが、基本的な育て方は知っておく必要があります。 

梅盆栽の育て方を置き場所や水やりの方法など、いくつかのポイントに分けてご紹介します。 

​​​置き場所 

梅盆栽を育てる際に注意したいのが、鉢を置く場所です。春から秋頃にかけては、日当たりや風通しの良い場所に置くのがおすすめです。 

ただし、強い直射日光に当たると葉っぱが日で焼けてしまう「葉焼け」を起こしてしまいます。葉焼けは枯れる原因にもなるので、日差しが強い夏場の日中は日陰に移して置くなどの対策を取りましょう。 

冬場は風や霜の影響を受けにくい日だまりに置くのが適しています。室内に置く場合は、乾燥を防ぐために冷暖房の風が直接当たらないようにすることが大切です。 

​​​水やりの方法 

梅は水を好みます。水やり(灌水)は忘れずに行いましょう。植えている鉢の表面が乾いたら、鉢底から水があふれるくらいを目安にしっかりと水やりを行います。 

水やりの具体的な回数は、季節や気候に合わせて調整するのがおすすめです。 

春と秋は1日1回、夏場は1日2回、冬は2~3日に1回程度を大まかな目安にすると良いでしょう。 

特に、蕾ができてから開花するまでは水切れを起こさないように注意が必要です。 

​​​用土・肥料やり 

梅盆栽は、通気性や水はけの良い土も好みます。粒状で通気性や保水性に優れている鹿沼土や赤玉土に、腐葉土を少し混ぜて使うのがおすすめです。 

また、きれいな花をたくさん咲かせるには肥料をしっかり与えることもポイントです。肥料が足りないと、枝が細くなって落葉したり、花芽が付かなかったりする原因になります。 

4月頃、5月頃、9月頃の年3回を目安に、肥料を与えるようにしましょう。 

特に、花が咲き終わって新芽が伸び出す春先は、力を回復させるために多くの栄養が必要になるので、多めに肥料を与えてください。 

梅盆栽には油かすの​ような​固形肥料が適していますが、液体肥料も加える​と花つきが良くなります。液体肥料を薄めたものを水やりの代わりに施すのも良いでしょう。 

​​​剪定作業 

剪定とは、見た目が悪い枝や不要な枝を根元から切り落として、樹形を整える作業です。梅は非常に成長力が強く、手入れをせずに放置していると枝が伸びすぎて樹形が悪くなってしまいます。 

「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」ということわざもあるように、きれいな梅の花を楽しむためには剪定作業が欠かせません。開花期が終わった2~3月と、9月頃の2回に分けて剪定を行うと良いでしょう。 

春先の剪定は、枝が伸びている基部から2~3個の葉芽(成長して葉になる芽のこと)を残し、それ以外の枝は切り落とします。剪定を終えた後も成長して枝は伸びるので、あまりサイズを気にする必要はありません。 

9月の剪定では、極端に伸びすぎて見た目が悪い枝や傷んでいる枝、花芽が付いていない枝を切り落として、全体を軽く整える程度に留めます。花芽の付いている枝まで切らないように注意が必要です。 

また、剪定を終えた後は、切り口に癒合材と呼ばれる植物用の塗り薬を塗ることも重要です。切り口から雑菌が入り、梅盆栽が悪くなるのを防ぐことができます。 

​​​植え替え 

開花後の2~3月に、植え替えを行うことも大切です。梅は葉や枝だけでなく根っこも成長します。 

鉢の中で根が広がり過ぎると枯れる原因になるので、2~3年に1回を目安に植え替えを行いましょう。植え替えを行い根がほぐれることで、水はけも良くなります。 

3月頃になっても花がまだ残っている場合は、秋頃になってから行ってください。 

植え替えの基本的な方法は、以下の通りです。 

【植え替えの方法】 

​​​1.植え替えを行う前に​​​​​​剪定​​を済ませておく​​ 

​​​2.鉢から梅の木を取り出し、根を優しくほぐして土を落とす​​ 

​​​3.  枯れた根や長すぎる根、古い​​​根​​​​を切り取​​​る​​​​     ​​​​​ 

​​​4​​.新しい鉢の中に用土を敷いて、梅の木を植える​​ 

​​​5​​.水やりを行い、日当たりや風通しの良い場所に置く​​ 

室内で植え替えを行う場合は、お部屋が汚れないようにシートなどを敷いておくことをおすすめします。

梅盆栽を育てる際のポイント

梅盆栽できれいな花を咲かせるためには、基本的な育て方以外にも覚えておきたいポイントがあります。梅盆栽をより楽しむためのポイントを2つご紹介します。 

​​​花がらを摘む 

花がらとは、咲き終わってしおれた花のことを指します。花がらを残しておくと実ができますが、梅盆栽は花を楽しむものです。 

花がらを残したままにしておくと養分を吸い取られ、木が弱ったり樹形が崩れたりする原因になります。見つけたらこまめに摘んでおきましょう。 

花がらの近くには葉芽や枝として成長していく部分があるため、間違えて摘まないように注意が必要です。 

害虫対策を行う 

梅はバラ科に属する植物です。アブラムシやカイガラムシといった害虫対策も欠かせません。 

また、害虫だけではなく、葉っぱに黒っぽい斑点ができる黒星病や、白いカビが生えるうどんこ病にも注意が必要です。 

植物用の殺虫殺菌剤を定期的に散布したり、日当たりや風通しの良い場所で保管したりすることを心がけましょう。 

葉がたくさんあると湿気がこもって虫や病気につながりやすいので、葉が込み入っている部分は葉芽のうちに摘んでしまったり、葉の量を減らす「葉すかし」を行ったりするのもおすすめです。 

正しい育て方を知って梅盆栽を楽しもう

古くから親しまれてきた梅盆栽は見た目の美しさだけでなく、育てやすさも魅力です。盆栽初心者の方でも比較的手軽に楽しむことができます。 

ただし、きれいな花を楽しむためには、基本的な育て方やお手入れの方法を知っておくことが大切です。梅の花で春の訪れを楽しみたいという方は、ご紹介した内容を参考に梅盆栽を育ててみてはいかがでしょうか。 

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