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大粒で肉厚! 南高梅の特徴と梅干しの作り方
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そのまま食べたり、ご飯のお供やお茶うけにしたり、料理に活用したりと、さまざまな使い方で楽しめる梅干し。塩漬けする前の梅の実があれば、梅酒や梅シロップなどを作って楽しむこともできます。
梅には非常に多くの品種がありますが、その中でも高い知名度を誇るのが「南高梅(なんこううめ)」です。
今回は、梅干しの定番で、梅のトップブランドとして知られる南高梅のルーツや、南高梅を使った梅干しの作り方などをご紹介します。
南高梅とは?
南高梅は、数ある梅の中でも高級品とされる品種です。名前を耳にしたことがある方は多いでしょうが、原産地や名前の由来はご存じないかもしれません。
ここでは、梅干しをより楽しめるようになる、南高梅の基礎知識についてご紹介します。
原産は梅の収穫量全国1位の「和歌山県」
南高梅は、数ある梅の中でも最も知名度が高く、生産量も多い品種です。梅の栽培量・出荷量ともに全国1位を誇る和歌山県みなべ町(旧南部川村)で誕生しました。
和歌山県は、温暖な気候や照射時間の長さ、雨量の多さ、水はけのよい土壌など、梅の栽培に必要な条件が揃っている土地です。南高梅は、良質な梅を多く生産している和歌山県のブランド梅として、全国的に名前が知られています。
名前の由来は地元の高校
南高梅という名前の由来はいろいろな説がありますが、その由来の一つが地元の高校名です。
和歌山県での梅栽培は江戸時代から始まっていましたが、昭和初期までは多くの品種が育てられていて、品質も不揃いだったそうです。
そこで、昭和25年になると、より高品質な梅作りのために、優良品種を選抜する委員会が設立されます。
この調査に深く関わった「南部高校園芸科」の生徒たちに敬意を表し、優良品種に選ばれた梅が「南高梅」と命名されました。
味わいの特徴
南高梅は、大粒で皮が薄いのが特徴です。果肉は肉厚で柔らかいため、ジューシーな食感を楽しめます。種は小さめなので、食べ応えがある点も魅力です。
梅干しはもちろん、梅シロップや梅ジャム、梅酒などの用途にも適していて、幅広い用途で使うことができます。
南高梅を使った梅干しの作り方
大粒で肉厚な南高梅は、梅干しとして楽しむのに適しています。加工前の南高梅を手に入れたら、梅干し作りにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
南高梅を使った梅干しの作り方をご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
必要な材料と道具
手作り梅干しを作るためには、以下の材料と道具が必要です。
【南高梅 1kg】
熟しきっていない青梅でも梅干しを作ることはできるものの、アク抜きの工程が増え、失敗するリスクも高いです。黄色く熟した梅を用意しましょう。
【粗塩 200g(梅の重量に対して20%)】
粒子が粗い粗塩は、梅干しを漬けるのに適しています。塩の量を減らすと梅酢が出にくくなり、傷んだり、カビが生えたりしやすくなるので、20%の比率からチャレンジするのがおすすめです。
塩分が気になる場合は、梅干しが完成してから塩抜きを行いましょう。
【保存容器(容量5Lほど)】
金属やプラスチックなどの酸に弱い素材でできた容器は、金属の成分などが溶け出す恐れがあります。ガラスや琺瑯(ホーロー)、陶器などでできた、フタ付きの容器を使用してください。
【落とし蓋】
落とし蓋(中蓋)も必要です。落とし蓋がない場合は、容器の口より少し小さめの平皿でも代用できます。
【重し】
落とし蓋の上に乗せる重しも用意しておきましょう。梅の重さと同じか、2倍程度が目安です。漬け物石がない場合は、水を入れたペットボトルを使っても問題ありません。
【消毒用アルコール】
梅や道具の消毒に使用します。焼酎やホワイトリカー、エタノールなど、食品に使える消毒用アルコールを用意しておきましょう。
【竹串や爪楊枝】
梅のヘタを取る用途で使用します。複数本用意しておくと安心です。
【ザル】
梅を天日干しする際に使います。金属製のものは変質する恐れがあるので、竹製や木製のザルを用意しましょう。
梅干し作りの手順
必要な材料や道具を揃えたら、さっそく梅干し作りにチャレンジしてみてください。
完熟梅を使った梅干し作りの手順は、以下のとおりです。青梅を使う場合は、1の前に水を張ったボウルに梅の実を付けて、アク抜きを行っておきましょう。
【作り方の手順】
1.使用する道具類を、ホワイトリカーや熱湯をかけて消毒する。消毒後、水気が残らないように丁寧に拭き取り乾かす
2.傷んでいる梅を取り除いたら、傷つかないように洗う
3.布巾やキッチンペーパーで丁寧に水気を拭き取ったら、竹串や爪楊枝でヘタを取る。ヘタを取った後にアルコールを吹きかけると、カビの発生をより抑えやすい
4.消毒した清潔な容器に塩と梅を交互に入れ、落とし蓋をして重しを乗せる。容器の上側に行くほど塩の量を増やし、梅が塩で隠れるように入れるのがコツ
5.梅酢が上がってきたら重しを軽くして、塩が溶け切るまで冷暗所で1ヶ月ほど保管する
6.晴れが3日ほど続くタイミングを狙って梅を容器から取り出し、ザルに並べて天日干しする(土用干し)
天日干しが完了したら、容器に梅干しを戻して完了です。
南高梅の梅干しを使ったおすすめレシピ
梅干しはそのまま食べてもおいしいですが、料理やデザートに使うと、楽しみ方の幅が広がります。
ここからは、南高梅の梅干しを使ったおすすめのレシピをご紹介します。
豚肉の香梅巻き
しそと梅干しの爽やかな味わいで、さっぱりと食べられるレシピです。
【材料(2人分)】
・豚肉薄切り:8枚
・塩・こしょう:少々
・大葉:8枚
・梅干し:適量
・薄力粉:適量
・卵:適量
・パン粉:適量
【作り方】
1.豚肉に塩・こしょうをふる
2.大葉を半分に切る
3.種を取った梅干しを包丁でたたく
4.豚肉に大葉をのせ、その上から梅干しをまんべんなく塗る
5.4の豚肉をくるくると巻き、薄力粉・卵・パン粉の順に衣をつけて170度の油できつね色になるまで揚げる
ほんのり梅味の鶏だんご水炊き
梅風味の鳥だんごがおいしい、簡単でヘルシーな料理です。
【材料(4人分)】
・南高梅の梅干し:2粒
・青ねぎ:1/2束
・しょうが:大さじ1
・鶏ひき肉:300g
・A 梅胡麻:大さじ3 卵:1個 みそ:小さじ1
・昆布:1枚
・鍋の具材:お好みで
【作り方】
1.種を取った梅干しを包丁でたたく。ねぎは小口切り、ショウガはすりおろす
2.ボウルに鶏ひき肉と1、Aを加えて粘りが出るまで混ぜる
3.土鍋に水と昆布を入れ、火にかける
4.沸騰したら昆布を取り出し、2を丸めて入れる。火が通ったらアクをすくう
5.お好みの具材を加えたら完成
梅風味ベイクドチーズケーキ
梅干しのほのかな酸味と塩味を楽しめます。さっぱりと食べられるデザートです。
【材料(直径18cm型)】
・クラッカー:80g
・無塩バター:40g
・Aサワークリーム:200g クリームチーズ:250g
・ グラニュー糖:100g
・全卵:1個分
・卵黄:1個分
・Bバニラエッセンス:適量 レモン汁:小さじ2
・薄力粉:大さじ1~2
・南高梅の梅干し:2粒
【作り方】
1.クラッカーを細かく砕き、溶かしバターを混ぜる
2.ケーキ型に1を敷き詰め、ラップをかけて冷蔵庫で固める
3.室温に戻したAをボウルに入れて、空気を含ませるように混ぜ、グラニュー糖を加えて混ぜる
4.卵黄と全卵を混ぜ、Bに3を加えて混ぜる
5.薄力粉を加えて切るように混ぜる
6.ケーキ型に5を流し入れ、空気を抜く
7.種を取った梅干しを包丁でたたき、6の表面に円を描くように並べる
8.170度のオーブンで60~65分焼く(途中で焼き色がついてきたら150度に下げる)
いろいろな方法で南高梅を楽しもう
生産量・知名度ともにトップクラスの南高梅は、肉厚で柔らかい果肉が特徴です。幅広い用途で使えますが、特に梅干しにするとおいしく食べられます。
そのまま食べるだけでなく、料理やデザートに加えてみるのもおすすめです。南高梅の梅を使って、料理をより楽しんでみてください。